2010/01/11

上海夜遊び 人外魔境編 "This is it!" 

嵐のような週末の夜も過ぎ去り、 荒れた胃を慈しむため、いい所の料理を。

思えば上海滞在中は、夜遊びに神経が行き過ぎたのか、食にはあまり恵まれない。
朝方はだいたいゲロ吐いてカップラーメンだし、市井の名店と言われる店に行っても、目の前でおっちゃんが鶏の骨をぺっぺっと机に吐いていたり、衛生観がかけ離れてるのか、おれが思う本場中国料理=美味の図式に出会えない。


そこで健康に良さそうな広東料理を出す名店、灘外楼へ。
Bar Rougeもある外灘18号の5F、ゴージャスなレストランで、窓からは対岸浦東の景色が一望できる。

これはうまかった!!味が繊細で盛りつけもきれい。中国茶をたっぷりと飲みながら、最高の時間でした。
上海に来て初めてホッとしてるような。。笑



昼からは、豫園散策。
お参りしたり、あの手この手で価格交渉をして翡翠のお土産買ったり、漢方薬局のおばちゃん相手に身振り手振りで喉の痛み止め買ったり、南翔饅頭店の小籠包に舌鼓を打ったり。
翌日の北京行きの動車組のチケットの手配も済ませ、日曜日らしくのんびりと過ごす。


夕方に最後の夜は上海らしいことをしよう!とふと思い立ち、中国と言えば、、そう!やっぱり雑伎団でしょう!

予約電話は繋がらず大丈夫かとも思ったけど、いきなり行っても入れるし、日本では考えられないけど写真も撮り放題、思ったよりカジュアルな印象。
とにかく身体能力が凄すぎる!!



あ~楽しかった。
上海での最後の夜を堪能し、あとはホテルへ帰るだけ、なはずだった。。。

(衝撃の 上海夜遊び~人外魔境編は、CMの後!!)





驚愕の上海雑伎団のショーを楽しみ、夢見心地で南京路をホテルへと歩く。
開演時間に間に合うよう駆け込んだおかげで、腹へりへり水分も取れずで喉もからから。

適当な店に入ってとりあえずの腹ごしらえでもすればいいものの、 最後の夜はうまい炒飯でも食いたいなと思いつつ、気づくと人民公園を過ぎて、上海の歌舞伎町ともいえる南京東路まで来ていた。



帰路を急ぐおれに、どこからともなく声をかけてきた小姐(ギャル)2人組。
さして可愛い訳でもないし、色気より食い気を求めていたのだが、上海でずっと1人で遊んできて、ちょこっと覚えた中国語と英語で話せる相手が欲しいような、そんな気分も多少あったのかもしれない。

ほとんど何も喋らず微笑みだけ送ってくる白い肌の女と、マレーシア系の血が半分入った南方系の女の"Babyfaceってクラブに行くんだけど、まだ開いてないから付き合って" という誘いに答えつつ、そのクラブの名前は聞いたことあるし、なんとなくまぁいっかなぁなんて思ってしまったのだ。

後から考えると中国人女子が逆ナンなんてあり得ないんだけど、なんとなくクラブでの夜遊びで調子に乗っていたおれは、あり得るかもなんてね。笑



寒いからバーに行こうと誘われるも、食い気に支配されているおれはなんと炒飯!
中国ではおかずと合わせて食べる白飯のような存在なのでびびってたが、とにもかくにも、炒飯にビール。女の子には一杯ずつくらい奢ってやって、中国語を教えてもらえばいいか、なんて思っていた。


メインストリートの南京東路をしばらく歩き(日曜日の歌舞伎町を想像してもらいたい)、通り沿いにあるビルの7Fにある店に入った。
ビルの前で店員が拡げて見せたメニューによると、炒飯39RMB。街の定食屋基準でいくと高いが、深夜この立地でやってる店としては、まぁ妥当な所だろう。1Fが電気店で、その上にいくつか飲食店が入ってる変なビル。

事件現場!2-6Fが真っ暗(怖)


南京東路を見下ろす窓側の席で案内され、あいさつくらいは日本語を喋れて、怪しい中国人小姐たちと、おれ。
おれはやっぱり炒飯と青島ビールをオーダー。笑
女の子たちは中国語で何やら頼んでいた。

なんとなく微妙な空気の中、、一体どこまで楽しんでいいのやら。
"日本人のボーイフレンドが欲しいと思ってたの"なんて発言にも、??
なんでって聞いたら、清潔だからって。。てんで理解できない。苦笑
楽しいのか楽しくないのか、そんな空気の中、ドリンクと共にフルーツ盛りが運ばれてきた。



???
これ、おれ見たことある。
というより、よく聞く話だ。。。

世界各国の至る都市で、数々のバックパッカーや現地駐在員の間に語り継がれ、 地球の歩き方を始めガイドブックには必ずと言っていいほど載っている"Most Famous Story"。
もしかして、おれ、釣り堀の魚?もしくは、まな板の鯉?

すべてが、笑えるほど、その通り。
"This is it!" 
恐怖とか通り越して諦めにも近いような笑いが自然と出てくる。



まずはフルーツ。一口スイカの切れ端を口に運ぶ。
これはOK。大丈夫、マイフレンド。
まぁとにかくと、気を取り直して乾杯!
瓶から直接コップに注がれた青島ビールを、注意深~く口に含む。


???
ビールの苦味の間に、僅か~に舌先に感じる痺れのような違和感。
こ、これは!!ホップの苦味じゃないよね。。
そしてすぐに、脊髄と脳を結ぶ脳幹と、腰の当たりにずーんと麻酔のような感触!!
大腸の内視鏡検査の麻酔を思い出す。 こいつはヘビーだぜ!


女の子に、"ビールにドラッグが入ってる。試してみろよ" と言うと、
そんな訳ないよ!とか抜かして、"変えてもらおうか?" なんて店員を呼んで騒ぎ出す。
3人ほど店員が集まってきて、怒りに眉を震わせている女マネージャ(ストレートの黒髪にきつめの顔立ち/けっこうタイプだ)におれが説明すると、 今度は奥から偉そうなおっさんが出てきた(!)
女店員いわく、彼はオーナーで、そんなことを言われてショックを受けているとか。

そんな話は聞いてられない。
強面のお兄さんが出てくる前に、とにかく脱出せねば!!

"おれの言ってることがわかるか?おれは気分が悪いから帰る。会計だ"
腹が減り過ぎていたのと、多少動転してたのか、この期に及んで炒飯を一口頬張り、席を立った。


中国語が飛び交う中、小姐たちは懸命に引き留めようとするが、長居は無用。
たった一口なのに結構来てるが、悟られてはまずい。
"今日は楽しかったぜ。ディナーを楽しめよ!"
精一杯の平静を装って、キャッシャーへ向かう。


エレベーターまでの距離を確認し、提示された伝票は、案の定"1078RMB"!!!
日本円で約14000円。こんなの払えるか、ボケ!!


"おれは払わないよ。警察に行く。おれの言ってること理解できるか?"
はっきりとした態度と発音で伝えて、英語混じりの中国語で何を言われてもこっちの話しかしない。

ポケットに30RMBくらいの小銭があったのを覚えていたので、キャッシャーに叩きつけて、踵を返してエレベーターホールへ!
"small money"だかなんだか、背後では女が叫んでいる!


エレベーターを止められてたり、追っかけてこられたらOUTだ。
ボタンを押してランプ点灯(よし!)背後からは追ってくる気配はなし(いける!!)
早く!!早く!!!


エレベーターが開いた瞬間!Yes!!ボルテージは最高潮!!!
6→5→4→3→2→→→
1Fに辿り着き、命からがら表に飛び出す。


"●○⊿▲××◎☆★♂↑↑↑~~~~!!!!!"
声にならない咆哮!!
通りにいる人が皆振り向くくらいの絶叫が南京東路に響いた。

おれはやった!!やってやった!!!
超ピンチを無事切り抜けた達成感と異様な興奮が、脳髄を突き抜ける。


ホテルへ戻る道すがら、腹減りすぎているのに、興奮し過ぎていて、飯にありつけない。
結局近くのファミリーマートで、おでんに似たようなものを買って、部屋に戻った。


上海での最後の夜。
見事に、魔都・上海の洗礼を受けました。
多少クラブで遊び回ったからって、なめてちゃいけない。

ひでえ目に遭わされたが、不思議とやつらを怒る気持ちはなかった。
みんな必死で生きている。
ボケっと無防備で釣り堀に飛び込んで、魚が釣り人に文句を言うようなもんだ。笑
最後にとても人間くさい上海に触れて、この街がますます愛しく思えた。



10分くらいの微妙なおしゃべり。
教えてもらったいくつかの中国語。(この騒ぎで頭からふっとんだ)
一口しか手をつけてない炒飯。
薬物入りの青島ビール。

その思い出・・・・・Priceless (-30RMB)

上海~北京 へつづく

クラブで夜遊び 上海編
クラブで夜遊び 北京編